2005年1月8日

今日は、1月の初めというのに、さんさんと陽光が降り注ぎ、気温が15度になるという奇妙な気候でした。バイエルン地方にはアルプス山脈から冬に突然暖かい空気が流れ込んで来るフェーン現象が起こりますが、この陽気は数日続くそうで、「地球の温暖化」という言葉を感じさせます。春を告げる鳥であるAmsel(つぐみ)がピヨピヨと鳴いております。まもなく再び寒さが戻ってきて、彼らは震え上がってしまうでしょう。

私が新潮社の「びっくり先進国ドイツ」の中で取り上げて、一部の読者の方から「面白かった」というご感想を頂いた話に、8ヶ国語を話すドイツ人のお年寄りのエピソードがあります。今日はその人に午後のコーヒーとケーキにお呼ばれしました。ミュンヘン郊外の住宅街にお住まいのWさんは、生まれ故郷であるエジプトのアレクサンドリアの変容ぶりなど、色々と興味深いお話をして下さいました。

Vさんは日本に来て墨絵を習ったこともあり、家の中には墨絵や油絵がかけてありました。平均的なドイツのお年寄りよりも、好奇心が強い上に色々な知識があり、「国際人」だなあと思いました。最後に本にサインをさせて頂き、みんなでカメラに収まりました。

ところでWさんが、「ドイツのお年寄りには、今も茶色い人がたくさんいますよ」と言っていたのが気になりました。茶色いとは、ドイツ語でナチスに傾倒しているという意味です。(ナチス党員の制服が茶色だったからでしょう)「今では外国人のせいで、危なくなり夜もおちおち外を歩けない。外国人がいなかったナチスの時代は良かった」と真剣に思っている人が、Wさんの周辺にもたくさんいるそうなのです。(Wさんは、ドイツ国籍を持っていますが、もともと外国人なので、茶色ではありません)こういう人たちによると、ドイツの全ての問題は外国人のせいなのです。私が数日前にこの日記に書いたことを、そのまま裏付けるものですが、懲りない人というのはどこにでもいるものですね。